■匠工芸の沿革

1955(昭和30)年6月
福岡県柏屋郡新宮町において「滝本絹織株式会社」を設立し、博多織製造を業とする
博多織工業組合」に加盟

1962(昭和37)年4月
福岡県筑紫郡大野町錦町二丁目に工場移転
1980(昭和55)年7月
福岡県大野城市仲畑二丁目に工場を新築移転
1990(平成2)年8月
工場設備と従業員を継承して、博多織産地問屋・株式会社後藤の系列会社として「株式会社匠工芸」を設立
(「博多織工業組合」の組合資格は継続)

1991(平成3)年7月
意匠部門と製織部門をコンピューター化
2009(平成21)年2月
株式会社後藤の倒産により、日本和装ホールディングス株式会社の子会社「日本和装ホールセラーズ株式会社(当時商号)」が工場設備と従業員を継承し、博多織の製造を開始
2012(平成24)年3月
「日本和装ホールセラーズ株式会社」から「株式会社はかた匠工芸」に社名変更

■職人の声

博多織意匠部門伝統工芸士 / 栫井 修(かこい おさむ)(59)


 親会社である老舗産地問屋「後藤」の倒産は、博多織物工場「匠工芸」従業員にとっては、生活の危機でした。今から2年前のことです。
 私自身「意匠」という特殊な仕事に従事していただけに、「今後、新たな仕事に就けるだろうか」と不安でいっぱいでした。そこへ日本和装から手が差し伸べられことで、正直ホッとしたのを覚えています。
 もちろん、新しい会社に運営が変わることに不安がなかったわけではありません。「従来の仕事内容に戻れるだろうか」「手当て関係はどうなるのだろう」と考えればきりがないほど。そのとき、工場を訪れた吉田社長は、私たちに「衰退しかかっている博多織を存続させたい」という熱く語られ、私たちはその思いに共感し、仕事に戻ることになりました。
 当初、業務システムには少々戸惑いもありましたが、今では与えられた業務に希望を持って従事させてもらっています。
 ただ残念なことは「博多織工業組合」に「匠工芸」を組合員として加入させてもらえなかったこと。私は「意匠部門」の伝統工芸士の認定を受けておりますが、「伝統工芸士」は博多織工業組合に事務所を置き、審査・認定を行っています。「匠工芸」は、“手織の帯”の生産に重きを置いているため、若い手織職人を育てています。将来、彼らが伝統工芸士として活躍できる場を封印されてしまったようなものです。 後継者育成に力を注いでいるだけに、その道をふさがれたような思いでいます。
 今はただ努力を重ね、技を磨くことで新たな道が開くと信じています。

※補足

博多織の伝統工芸士は、47名(平成24年11月現在)。うち「匠工芸」には現在、3名の伝統工芸士(製織部門2名・意匠部門1名)がいます。 伝統工芸士の試験は、産地内に居住し、博多織製造の実務経験が12年以上あることが受験するための条件。博多織の伝統工芸士となるには、「博多織工業組合」内の委員会に申込み、試験合格後、委員会を通じて「財団法人伝統的工芸品産業振興協会」に登録申請をしてようやく「伝統工芸士」として登録されます。

「匠工芸」は「博多織工業組合」の組合員ではないため、伝統工芸士の試験は受けられません。


1952(昭和27)年生まれ。
22歳から博多織の意匠に携わり、1996(平成8)年博多織意匠部門の伝統工芸士に。2005(平成18)年より「匠工芸」。



2011年のお正月、社長の酒井を囲んで。

■私たちの思い >>こちらから原文をご覧になれます。

「『匠工芸』にお世話になり2年になります。40数年博多織の仕事をしてきましたが、織工さん、準備工さんの、よそでは見られなかったような、作業中の真剣な眼差し、集中力を見て、サポートする立場としてはもっと作業のやりやすい環境づくりをしようと、気合の入る毎日です」
(工場長・森松英雄)
「ものづくりをする者として、大半が受注生産に変わってきたことで、一越一品の重みを強く感じています。日本和装の生徒さんのコメントも励みになっています。日本和装を通じて、いろいろなきものや帯を見る機会もでき、今後は他産地との交流も積極的にしたいと思っています」
(製織部門伝統工芸士・坂井龍生)
「後藤から日本和装になっても、従業員のほとんどが失職することなく技術を活かして仕事をし、唐草間道も消えることなく織り続けられています。なのに、なぜ今?共存していく道はなかったのでしょうか。残念です。少なくとも後に続こうとしている若い人たちのためにも・・・」
(製織部門伝統工芸士・谷口澄子)
「私たちが今感じているのは、やはり“安定感”ではないかと思います。仕事や休日、有給休暇など、以前はいわゆる“なぁなぁ”だったものが、ごく一般的な状態になったと思います」
(手織・一木孝厚)

■データ

経営母体が変わる以前の2009(平成21)年2月当時と、2011(平成23)年5月現在のデータを掲載しています。

  2009(平成21)年2月 2011(平成23)年5月
総従業員数 19名 24名
伝統工芸士の人数 3名 3名
生産内容 袋帯・名古屋帯ほか 袋帯・きものほか
工場設備 機械機15台
(稼動12台)
機械機12台
(稼動9台)
手織機6台
(稼動4台)
手織機11台
(稼動11台)
  ジャガード織機
2台
  紋彫り機
加盟組合 博多織工業組合 博多織物協同組合
帯の証紙名称 「博多織」 「博多帯」

■匠工芸の博多帯

ベーシックな博多織物の帯はもちろん、結び手のニーズに応じたリバーシブル帯など技術力を生かした商品開発を行う。とくに、手織り帯は秀逸。

【リバーシブル袋帯】

縞の中を同系色で裏表異なる柄を表現したり、ベーシックな献上柄とモダンな柄を表裏で表したりしている。1本の帯で表裏、2倍の着こなしが楽しめる。

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【手織り帯】

経験の長い職人による手織り。特有のしなやかさと風合いが感じられる。

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【西陣織とのコラボ帯】

異なる産地の織の技術を表裏で楽しめる袋帯。それぞれに産地ごとの味わいがあり、着用シーンも広い。消費者ニーズに応えた、日本和装オリジナル商品。

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■株式会社はかた匠工芸

所在地 〒816-0921福岡県大野城市仲畑2丁目12-40
設立年月 2007(平成19)年3月
資本金 1億700万円
代表 取締役会長 吉田 重久
代表取締役社長 酒井 茂
事業内容 和装文化に関する情報サービスの提供、織物の製造販売
電話番号 092-581-7232(代)
URL http://takumikougei.jp/